やっぱりソフトバンク孫さんは健在!ARM買収
ソフトバンクの大型買収のニュースが出てきました。
ソフトバンク 半導体開発のARMを買収へ | NHKニュース
孫さんの次なる買収の予想の範囲内!?
アリババやスーパーセルの株式のキャッシュ化という動きをしていたので、次なる買収が出てくることは予見されていたところです。また、孫さんが示していたソフトバンクの方向性から考えれば、ARMの買収は決して文脈から逸れたものでないと言えます。
そこら辺に関してはこちらの記事をご参照ください。
ただ、改めて具体的に出てくるとインパクトありますね。7月18日時点の株価を基準にすると約43%のプレミアムを乗せ、買収総額は3.3兆円。日本企業による買収案件では過去最大の規模。
次なる買収がAIのコアたる「頭脳」に関する企業だろうとは予想されました。ただスプリント然りで、ある程度リソースは持っているもののやや難アリな会社に割安投資するのかなと思っていました。
ところが出てきたのはARMというピカピカの優良企業。しかも相当なプレミアムを乗せた買収金額。一気に本丸を攻めてきた感じで、孫さんの意気込みの強さを感じずにはいられません。
ARM買収とニケシュ・アローラの退任との関係は?
ただ、ちょっと気になるのは先日、突然の退任となったニケシュ・アローラとARM買収の関係です。
ニケシュの退任には、調査の手が回っている利益相反に関することが絡んでいるだろうとは考えられるものの、タイミング的にはARM買収に関して孫さんとの確執が発生していた可能性も否定できません。
もしそうだとしたら、ニケシュはARM買収に後ろ向きだったということになりますし、その後ろ向きにならざるを得ない事情が何なのかが気になるところです。
ARM買収に関して、孫さんとニケシュに確執があった、ニケシュはARM買収に後ろ向きだった、というのは想像以外の何物でもありませんが、ひとつのシナリオとして頭の片隅に入れておいた方がいいのかもしれませんね。
ソフトバンクからはますます目が離せない
ここまでの流れをぼくの視点で簡単にまとめるこうなります。
- ソフトバンクの強みは国内通信事業のキャッシュ創出力であり、それを基に孫さんはスプリントの買収に打って出た
- ただ、Tモバイルの買収とセットで考えていたものの米当局の認可が下りず出鼻を挫かれた
- なのでやや難アリなスプリントの再建に注力せざるを得なくなった
- スプリント再建も当初は軌道に乗らず孫さん意気消沈。そのためニケシュ・アローラへの社長禅譲を考えた
- スプリントの契約者数が伸び始め、リース・ファイナンスの活用でスプリントの資金調達にもある程度目処がついてきた
- スプリント再建に目処がついてきたことで、シンギュラリティに向けて頭脳の取得を実行に移すこととした。それと伴に孫さんは社長職の継続を決意した
孫さんがスプリントの再建に手を焼いているうちは次なる大型買収がないだろうとは考えられていました。
なのでARMの大型買収が出てきたということは、スプリント再建に目処がついたことを意味すると考えるのが自然かと思います。
スプリントのようなカネ食い虫と違って、ARMは既に利益を生み出している体質です。買収にあたってプレミアム払いすぎじゃないかという懸念は残るものの、ソフトバンクへの利益寄与が容易に想定されることは非常に安心感がありあす。
また、今回の買収に関してロイターによると、孫さんは「社債保有者は買い増す最高のチャンスだ」と言っているそうです。
文面通り受け取るのであれば、ARM買収以降は社債保有者が懸念するような大型買収による財務悪化イベントが当面は発生しない、ということになります。
ARMはカネを食うわけでもないですし、当面大型買収がないのだとすれば、ソフトバンクの株式保有者、社債保有者の双方にとって腰を据えて保有することが出来る、と言えそうですね。